更年期障害なんて怖くない!
更年期って何だか怖いものというイメージを抱いている方も多いと思いますが、更年期を迎えることそのものが、どの女性にとっても初めての経験でもあり、不安な気持ちを抱くのは当然のこと。
では実際いつから「更年期」はスタートするのでしょうか?
「更年期って何?」「いつからなの?」と、まだ経験したことのない女性にとっては、いろいろと不安なことが多い「更年期」を理解して、毎日を楽しく過ごす秘訣をお伝えします。
更年期障害なんて怖くない!
女性なら誰でも「更年期」という時期がやってきます。「更年期」や「更年期障害」は決して怖いものでもなく正しい知識を得て原因を知り、症状に対して適切な対処をすれば軽く乗り切ることも治療によって日常生活に支障なく過ごすことも可能です。
ほてりや発汗(ホットフラッシュ)、冷え、イライラ、めまい、動悸、息切れ、頭痛、疲労、不安、不眠、憂うつ感などが代表的な症状と言われていますが、これらはエストロゲンの減少が自律神経に影響を及ぼし、さまざまな調節機能が乱れることで起こる症状です。
体や心にいろいろな変化を感じる時期でもありますが、更年期の「更」という字には「あらたまる」という意味もあり、長年分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)が急減するという環境変化に、からだが慣れるまでの移行期間として、女性なら誰もが体験する一つの現象です。
「更年期」は決して怖いものではなく、新しい自分に更新、更改、変更する時期と捉え心身ともにが大きく変わる節目の一つとしてこの時期を大切にし、心身の変化を前向きにのりきっていきましょう。
更年期と閉経について
更年期とは、一般的には、40代後半から50代後半、閉経を挟んだ前後5年ずつトータル10年間が「更年期」と定義されているようですが、個人差もあり、実際にはいつ閉経するのかは予測がつかないため、いつ「更年期」に突入したのかわからない方も多いようです。生理が少しずつ不順になり始め、次に生理がいつくるか分からなくなったら「更年期」に入ったと思っていいかもしれません。更年期に入って卵巣機能が衰えはじめると、まず月経周期が短くなり、そして不正出血などが起こってきます。多くの女性は、閉経の10年ぐらい前、つまり40代に入った頃から少しずつ月経周期が乱れはじめてきます。これまで35日ぐらい長めの周期だった人が、27日ぐらいになることも多いようです。さらに20日~25日ぐらいに短くなり、40代後半ではそのうちの一部が無排卵となり、周期がとびとびになって「生理がいつ?くるかわからない」という不規則な状態も起こります。
閉経とは、「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止」とWHO(国連世界保健機関)により定義されていますが、45歳以上の女性で、1年間以上月経を認めなければ、閉経とみなされます。日本人の閉経年齢は、平均50.4歳で、45~56歳が正常範囲とされています。
更年期障害の症状
更年期の症状は実にさまざまです。典型的な症状には、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)、発汗過多、それによる不眠などがみられますが、その他にもめまい、耳鳴り、イライラ、不安感なども見られます。一般的にこれらの症状が見られたら更年期症状とみなされ、その症状が強くて仕事や家事に支障をきたす場合に「更年期障害」といわれます。
身体の症状
■ めまい
ふわふわする感覚やぐるぐるする感覚など、症状によって更年期障害が原因か、「良性発作性頭位めまい症」という耳からくるめまいかがわかります。
■ 耳鳴り(耳の中でキーンと音がする)
女性ホルモンのバランスが乱れることが原因でおこる耳鳴りのほか、血行不良やストレス、高血圧、加齢による聴力の低下でも耳鳴りの症状がおこります。「メニエール病」や「突発性難聴」でも耳鳴りを伴うことが。
■ 疲労感(からだがだるい。疲れやすい、やる気が出ない)
寝ても疲れが取れない、常にだるい感じがする…といった疲労感は、どこの診療科に行けばよいか悩むところです。
漢方医学で原因を探してみるのもオススメです。
■ 動悸・息切れ(心臓がドキドキする、息が苦しくなる)
ドッカン、ドッカンと強い鼓動を感じたり、胸がドキドキしたりする動悸。
不整脈や甲状腺機能亢進症との見極め方を知っておけば安心です。
■ のぼせ・ほてり・ホットフラッシュ
急に熱くなったり、寒くなったりする、汗が止まらなくなる、顔は熱いのに手足は冷たいなどの症状。
ホルモン補充方法や漢方、運動などで改善できる場合も!
■ 口の乾き/ドライマウス・口臭
口のなかが渇く、食べ物が飲み込みにくい、自分の口臭が気になる、のどがつかえるといった症状。
40代以上の女性の4人に1人はドライマウスと言われています。
■ 肩こり・腰痛
肩があがらない、肩が痛い、重い、腰が曲げられない、腰が重い、頭や首が重い、痛いなど。
辛すぎる場合には病気の可能性も。
■ 頭痛
ズキンズキンと脈打つような痛み、吐き気を伴う痛み、締め付けられるような痛みなど、痛みの種類によって対処法が異なりますので、頭痛の症状もチェックしておきましょう。
■ 下痢・尿もれ
便秘や下痢を繰り返す、おなかをこわしやすくなる、おなかに力を入れると尿が漏れる。
■ 便秘
更年期には、更年期障害のほか、ストレスなど」さまざまな理由で便秘の症状が出る人が多くなります。
他の症状もある場合は、大腸がんなど他の病気の可能性も。
■ 関節痛
膝やひじ、手首、指などの関節が痛い、朝、寝起きに指がこわばっていたり、関節がしびれるなどの症状は早めに関節リウマチや膠原病でないことを確認することをオススメします。
■ 膣炎・性交痛(膣がかゆい、性交時に痛い、出血するなど)
閉経後にはフェミニンゾーンも老化が進み、性交時の痛みだけでなく、自転車やランニングなどでも擦れて痛いという人が増えていきます。
■ 目の乾き/ドライアイ
目のごろつき、目のかすみ、充血、涙がでるなどの症状は、悪化すると治りにくいので、早めに眼科に受診することをオススメします。
心の症状
■ 物忘れ
忘れ物が増える、名前が思い出せない、新しいことも思い出せないといった症状が出てくることが多くなります。
■ 不眠・睡眠障害
寝つきが悪い、眠りが浅い、常に眠い、寝ても疲れがとれないといった症状を訴える人が多いようです。
アロマや漢方、運動で改善することもオススメです。
■ 不安・うつ
気持ちが落ち込む、急に不安になる、やる気がおきないといった症状。
■ イライラ
怒りっぽくなる、カッとなってしまう更年期に多い心の症状。治療にはホルモン補充療法と漢方薬が有効です。
肌の症状
■ 肌の乾燥(皮膚がかさつく)
女性ホルモンで守られてきた肌のバリア機能が低下するため、肌が敏感になり、乾燥したりかさつくことがあります。
更年期障害の原因
更年期の症状は、「卵巣機能の低下」「環境的な要因」「本人の気質や体質の問題」の3つが絡み合って起こると考えられています。
□卵巣機能低下
更年期症状、更年期障害の直接的な原因は、卵巣機能が低下し、やがて停止(閉経)することによって、エストロゲンの分泌量が低下ないし、停止するためです。このようなホルモンバランスの乱れから、自律神経に失調が起こり、症状を起こします。
人によってエストロゲンの減少が急激な人もいれば、なだらかに下がる人もいて個人差があります。卵巣の機能の問題だけでなく、体の各組織の機能低下やホルモンの変調に対する適応能力の差、自律神経の働きの差も影響すると言われています。
□環境的な要因
更年期の時期はちょうど、女性にとって忙しい時期にあたることが多いようです。例えば、親の介護や子供の教育問題や親離れ、人間関係の問題など様々な悩みを持つ時期でもあります。それらの要因が、更年期症状を促進させてしまうことがあります。
□本人の気質・体質
更年期症状があっても、あまり気にしない人もいれば、生真面目で完璧主義の人やストレスに弱い人は気にする傾向にあるので、症状が重くなりやすいと言われております。
閉経を「女性でなくなる」など、あまりマイナスイメージで捉えて症状を悪化させるケースもあります。
様々な症状が出た時に、その症状も集中させてしまう傾向にある人は、どんどん辛くなってしまうので要注意です。
更年期障害の検査
更年期の検査は、問診と血液(ホルモン)検査がメインとなります。血液検査でチェックするのは、FSHとE2です。
FSHは、脳の下垂体からでてくる卵巣刺激ホルモンです。E2は、卵巣から出るエストロゲン(女性ホルモン)です。
閉経もしくは閉経が近いと、卵巣機能が低下し、E2の値が低くなります。一方、卵巣が働かなくなってきたので、脳の方ではE2を出すように卵巣を刺激するホルモンFSHがたくさん出るようになります。
医療機関では上記の更年期の直接的な検査以外にも更年期以外の疾患があるかもしれないと予測し、甲状腺のホルモン値やコレステロール値、骨密度などを測定することがあります。更年期の陰に隠れて、違う病気が見つかることもよくあるので、更年期の検査はじっくりと行った方が良いと言われています。
更年期の治療
現在、更年期障害の治療に行われる第一選択は、HRT(ホルモン補充)療法です。
エストロゲンが足りないのであれば、エストロゲンを外から補充することによりさまざまな症状を緩和していく治療法です。ほてりや発汗、不眠、イライラ、膣の萎縮などの症状や、骨粗鬆症、動脈硬化など、生活習慣病の予防に大きな効果があります。また、漢方治療も選択されることが多いです。全身の状態を整えて、体の変調に対する調整力を高める働きなどによって、冷えや頭痛、肩こり、めまいなどの症状に効果を発揮します。漢方の場合は、体の状態により、選択される薬剤が変わりますので、漢方をよく知っているドクターに見てもらうことが大事です。
その他、症状に合わせて、抗うつ薬、抗不安薬、自律神経を整える薬、ビタミン剤などを使用することもあります。
更年期障害改善のためのライフスタイル
更年期障害においても生活習慣はとても大事だと言われています。それは、エストロゲンが減ることによりさまざまなカラダの変化があり、それらは生活習慣を変えることで対処できるからです。エストロゲンが減ることにより、血中のコレステロール値が上がりやすくなります。また、骨量の減少が加速するとも言われています。よって、脂質の摂取に気を配る必要性があるだけでなくカルシウムも意識的に摂る必要性があります。また、更年期の時期に太りやすい傾向があるため、肥満防止の対策も意識的に行なう必要があります。
具体的には…
① 脂肪は動物性のものを控え、植物や魚由来の不飽和脂肪酸を摂るように心がける。
~オリーブオイル・亜麻仁油・サンマ・サバ・イワシなど
② 食事の総カロリー数をコントロールする。
③カルシウムやカルシウムの吸収を促進する食品の摂取
~しらす・牛乳・うなぎ・サンマなど
また、更年期を乗り切るのに運動・フィットネスはとても効果的です。肥満、骨粗鬆症の予防、肩こりやひざの痛み、便秘や動機、息切れなどの症状の改善や抑うつ気分、不安など心理面への効果もあります。
ウォーキング、水泳、水中エアロビクス、ヨガなどあまり激しくなく楽しく続けられるものがオススメです。もちろん自分の好きなスポーツであればいうことはありません。
ザクロは更年期のお役に立てるのか?
2004年のアメリカの産婦人科関連サイトOB-GYM.NETの記事に、「ザクロは更年期症状に効果的である」という内容があります。その中では、臨床的に抑うつ状態と女性の更年期障害の骨量減少に有効であると結論づけています。
また、別の「ザクロは更年期障害の症状を治療できるか?」という記事では、世界的にザクロの研究に2000万ドル以上投資されているとの記述もあり、研究対象でありうる数少ないフルーツの一つとして挙げられています。
それが、豊富に含まれるポリフェノール類によるものなのか、ほかの物質によるものなのかはまだわかっていませんが、ザクロの適度な摂取が、更年期の方々に良い影響ウィお与えていることは間違いなさそうです。
<参考文献>
■「臨床的に抑うつ状態と女性の更年期障害の骨量減少に有効である」(英語サイト)
http://bit.ly/bcLVmQ
■「ザクロは更年期障害の症状を治療できるか?」(英語サイト)
http://but.ly/c67nLp